股関節の権威

診察室の前で待っていると、隣の診察室から股関節の権威が顔をだした。

土曜日は不定期で股関節の権威がいる。

股関節の権威は、梨子の隣に座っていた女の子の名前を呼んだ。
ちゃんづけで呼んでいた。

きっと権威に手術してもらった子なんだろう。適応の手術がない、リハビリで頑張るしかないと言われた私としてはとても羨ましく思う。

こちらとしては見捨てられた気分だ。
隣の女の子は拾われて、私は棄てられた気分。その後面倒みてもらっていないし。

もともと権威がいるからこの病院に移ったのに。なんの為の転院だったのか。。。
と、不快な感情が溢れてくる。

権威は女の子のとなりに座っている梨子を覚えているだろうか。
絶対覚えていないだろう。

前回の股関節の診察で、権威に期待しすぎて裏切られた感が凄かった。
長年の股関節周りの痛み、坐骨神経痛が解決するかもと思っていたらまさかの脊椎脊髄病医に回された。

初めての診察では、MRIに梨状筋の炎症が見られ、股関節を内旋させると痛がることから梨状筋症候群だ、と診断してくれた。(梨状筋は股関節の外旋筋なので、内旋させると梨状筋はストレッチされその下にある坐骨神経が最も圧迫される形になるために、梨状筋による坐骨神経痛が出やすくなる)
他の先生にかかったときも、「権威の診断は絶対だから。普通、梨状筋症候群なんて消去法で診断するような病気だよ。」と太鼓判を押してくれたのに。

なのに2回目の診察で、指圧しても痛がらないことと、その時は股関節を内旋させても痛くなかったことから梨状筋症候群ぽくないと言われた。

なんだって??
権威が梨状筋症候群と言ったからこっちの病院に来たのに・・・。
他の先生に回すの?
もう面倒みてくれないの?

そんな気持ちになって、顔を見るのもきつい。実際もう面倒みてくれてないし
なんだか悔しい。

あの女の子が羨ましい。

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